親の学校子育てコラム

「子どもの考える力を伸ばしたい」
「自分で考え行動できる子に育って欲しい」
これは多くの親が願うこと。
私自身もその昔そう願いながら色々な事を試しては失敗してきました。
「ほめる」ことがいいと聞けばとにかくほめる、「質問力」で考える力が伸びる!と聞けばとにかく質問する。
残念ながら結果は散々で…
子どもの考える力を伸ばすどころか、質問の答えが気に入らなくてイライラ…
イライラしているから、ほめるところも見つからなくてさらにイライラ…
今考えれば、親の思ったとおりの答えを期待していたり「いつほめるのか」「いつ質問するのか」の問題所有が分かっていなかった事が原因なんですが、当時は途方に暮れていました。
そんな時、たまたま本屋さんで見つけた「親業(おやぎょう)大和書房」に衝撃をうけます。
その本には当時の私がやっている対応がどうして効果がなくて、ではどんな接し方をすればいかがすべて書いてあったんです。
その後は親業のインストラクターとして伝える側になったわたしですが、親業の中でも「お決まりの12の型」を知った衝撃は今でも忘れられません。
▶今日はその親業より、多くの親が良かれと思いかけている言葉で、実は子どもの考える力を奪っていることもある「お決まりの12の型」を事例でご紹介します。
※親業はアメリカの臨床心理学者トマス・ゴードン博士が創始した親のためのコミュニケーションプログラムです。(英語版 Parent Effectiveness Training)詳しくはこちらをご覧ください。
多くの親がやってしまう「お決まりの12の型」
親業の創始者トマス・ゴードン博士は、子どもが困っていたり悩んでいたりしているとき、90%以上の親が子どもが自分で考えて問題を解決するには効果のない対応をしていると言っています。
そして、その「効果のない対応」をまとめたのが「お決まりの12の型」です。
お決まりの12の型を事例でご紹介
「お決まりの12の型」を事例でご紹介していきましょう。
例えば、テストの点が悪くて落ち込む子どもが「テスト、全然ダメだった…もう最悪」と元気なく言ったとき、あなたはどのように答えますか?
以下は「お決まりの12の型」の対応例です。
(1)命令 「じゃあ、次からはもっと勉強しなさい」
(2)脅迫 「ちゃんと勉強しないとろくな高校に行けないよ!」
(3)説教 「勉強してない人がテストでいい点取れるわけないじゃない」
(4)提案 「塾の日にち増やしてもいいんじゃない。」
(5)講義 「勉強って毎日の積み重ねだからね。短い時間でもいいからコツコツやる習慣が大切。勉強が出来る子ってみんなそうよ。」
(6)非難 「自分が勉強しないからでしょ!何言ってんの!」
(7)同意・賞賛 「結果は出なかったけど、今回は勉強頑張ってたと思うわよ」
(8)侮辱 「日頃の行いが結果になったんじゃないのかな!」
(9)分析 「朝ごはん食べていかなかったから頭が働かなかったんだよ」
(10)同情 「残念だったね、でも次はきっといい点取れるよ!頑張ろう!」
(11)尋問・質問 「答えは全部書いたの?テストはいつ戻ってくるの?」
(12)ごまかし 「とりあえず、おやつがあるから食べようか」
日ごろの対応に当てはまるものがありましたか?
「言ってる!!」と思った人も多いかもしれません。
もちろん、多くの親は、子どもを否定しよう!傷つけてやろう!と思って「お決まりの12の型」を使っているわけではないんです。
でも…子どもが困ったな…嫌だな…と感じている時に使うと、親の言葉に黙ってしまったり、反抗的になったりと、子どもの心は一変に閉じてしまいます。
では、なぜ「お決まりの12の型」で言われると子どもは心を閉ざしてしまうのでしょう。
「お決まりの12の型」
裏のメッセージが子供の心を閉じさせる
親が子供の話を聞いているつもりで伝える「お決まりの12の型」。
実は、すべて親の意見なんです!
さらに、発せられた「ことば」と同時に次のようなメッセージを子どもは受取ります。
「私のこの気持は大したことないと思ってるんだ」
「私を我慢できない子だと思ってるんだ」
「問題は私だと思ってるんだ」
「私の言う事を真剣に考えてはくれないんだ」
「私がどんな気持でいるか気にしてないんだ」
親にしてみると、そんなつもりで言っていないと言いたい所ですが、残念ながら「お決まりの12の型」では、親が聞いて欲しいメッセージより上記のメッセージが伝わってしまうのです。
そんなメッセージを受け取った子どもは
・話しがそれ上続けられなくなる
・防衛的で反抗的な気持になる
・自分はだめだ、劣っていると感じる
・自分を変えなければいけないと圧力を感じる
・自分で解決できないと思われてると思う
・自分は信用されていないと感じる
・自分の感情には当然の理由がないと感じさせられる
・焦燥感を持たされる、イライラする
・反対尋問を受けるために、証人台に立たされているように感じる
・反撃したくなる
参考書「親業」トマス・ゴードン著
親の良かれと思ってかけた言葉がけが、子供のやる気を削ぎ、自尊心を下げてしまうというのは寂しいものがあります。
親の言葉がけを見直してみませんか
言葉というのは言ったほうより言われたほうのが心に残るものです。
何気なく言ったあなたの言葉で子どもが黙ったり不機嫌になる事があるとすれば…
それは「お決まりの12の型」かもしれません。
そんな子どもの様子に気付いたときは、先ずは親の意見を言わな いことを心がけてみませんか。
もし、今まで子供に「お決まりの12の型」の言葉がけばかりしていたのであれば、親の変化に子どもはすぐに気がつくはずです。
そしてここから、親子の新しい関係が始まるのかもしれません。