子どもが「学校に行きたくない」と言っている。
行き渋りがあり、毎朝「今日は行けた」「今日は行けなかった…」と子どもの動向に一喜一憂してつかれてしまう。
そんな親御さんは多いのではないでしょうか。
令和3年度の全国の小中学校の不登校者数は244,940人。
前年の196,127人から48,813人増で過去最高の人数となっています。
また、増減率では前年の8.2%から3倍の24.9%に跳ね上がり、不登校が急激に増えている現状をあらしています。
学校別でみると、小学校では全児童数の約1.30%(前年比0.3%増)が、中学校では全生徒数の約5%(前年比0.91%増)が不登校であり、中学では2クラスに3人ほどの不登校生徒がいることになります。
また、行き渋りの潜在不登校者数はこの10倍といわれていますから、1クラスの三分の一程度が不登校予備軍ともいえるでしょう。
ここでは
多くの人に不登校の現状を知ってもらい、子どもの不登校や行き渋りで悩む保護者が早く各種情報にたどり着き安心してお子さんを見守れることを願っています。
埼玉県の長期欠席者数(不登校件数ふくむ)
令和3年度の埼玉県の小中学校に在籍する児童・生徒の長期欠席者数は25,880人。
前年の14,939人から10,941人増と大幅に増えています。
【長期欠席者とは】
連続的あるいは断続的に年間 30日以上の欠席のある児童生徒。
※長期欠席者には不登校だけでなく、病気、経済的理由、新型コロナ感染回避などの理由も含まれています。
そのうち、不登校とされた児童・生徒の数は11,362人(前年比2,274人増)
長期欠席者の約6割が不登校です。
前年は長期欠席者の約7割をしめていましたが、令和3年度には「不登校」の人数自体は大幅に増えたものの、長期欠席者の割合としては下がっています。
これは「不登校」以外の「新型コロナ感染回避」「その他」の人数が異常に増加したためです。
それでは、まずは令和3年度の長期欠席者のうち、埼玉県の小学校(国公私立)の長期欠席者のうちわけをみてみましょう。
埼玉県の小学校の長期欠席者数のうちわけ(不登校ふくむ)
在籍児童数:363199人
長期欠席者数 | 病気 | 経済的理由 | 不登校 | コロナ 感染回避 |
その他 |
13,185人 |
1,293人 | 0人 | 3,256人 | 4,637人 | 3,999人 |
過去10年間の推移がこちら。
「不登校」は、前年比626人増の3,256人と10年間で過去最高。
10年前の3.8倍という数字です。
また、「その他」が前年比の3.4倍、「新型コロナ感染回避」が前年比の5倍と増加しています。
【「その他」とは】
上記「病気」,「経済的理由」,「不登校」,「新型コロナウイルスの感染回避」のいずれにも該当しない理由により長期欠席した者。
*「その他」の具体例
ア 保護者の教育に関する考え方,登校についての無理解,家族の介護,家事手伝いなどの家庭の事情
イ 外国での長期滞在,国内・外への旅行
ウ 連絡先が不明
ェ新型コロナウイルスの感染の急拡大期に,学校又は教育委員会から推奨あるいは提示されたオンライン学習に参加したことによって,登校しなかった日数が30日以上となる者 など。
令和3年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」より
埼玉県の中学校の長期欠席者数のうちわけ(不登校ふくむ)
次に、埼玉県の中学校(国公私立)の長期欠席者のうちわけをみてみましょう。
在籍生徒数:187,395人
長期欠席者数 | 病気 | 経済的理由 | 不登校 | コロナ 感染回避 |
その他 |
12,695人 (前年比)3,583人増 |
2,083人 (前年比)384人増 |
0人 (前年比)0人 |
8,106人 (前年比)1,648人増 |
1,146人 (前年比)800人増 |
1,360人 (前年比)751人増 |
過去10年間の推移がこちら。
埼玉県全体でみると、児童・生徒数は10年前に比べ3万7千人ほど減っていますが、不登校の人数は小学校で3.8倍、中学校で1.76倍と増加しています。
さいたま市の長期欠席者数(不登校ふくむ)
次に、さいたま市の小中学校に在籍する児童・生徒の長期欠席者数をみてみましょう。
令和3年度のさいたま市に在籍する児童・生徒の長期欠席者数は8,524人。
前年から3倍以上増えています。
埼玉県全体の長期欠席者数が前年の1.7倍ですから、さいたま市の長期欠席者数の増加が際立っています。
うち、不登校とされた児童・生徒の数は1,624人(前年比234人増)でした。
長期欠席者にしめる「不登校」の割合は約19%(前年は57%)。
昨年に比べ不登校の人数は増加したものの、長期欠席者にしめる「不登校」の割合は大幅に下がっています。
しかし、埼玉県の長期欠席者にしめる「不登校」の割合が43%(前年60%)となっており、さいたま市の数字との差が大きすぎることに疑問が残ります。
さいたま市の小学校の長期欠席者数のうちわけ(不登校ふくむ)
令和3年度におけるさいたま市の小学校(国公私立)の長期欠席者のうちわけをみてみましょう。
在籍児童数:68,544人
長期欠席者数 | 病気 | 経済的理由 | 不登校 | コロナ 感染回避 |
その他 |
5,949人 (前年比)4,932人増 |
198人 (前年比)40人増 |
0人 (前年比)0人 |
550人 (前年比)81人増 |
2,495人 (前年比)2,347人増 |
2,706人 (前年比)2,464人増 |
過去10年間の推移がこちら。
さいたま市の中学校の長期欠席者数のうちわけ(不登校ふくむ)
次に、さいたま市の中学校(国公私立)の長期欠席者のうちわけをみてみましょう。
在籍生徒数:31,759人
長期欠席者数 | 病気 | 経済的理由 | 不登校 | コロナ 感染回避 |
その他 |
2,575人 (前年比)1,174人増 |
385人 (前年比)96人増 |
0人 (前年比)0人 |
1,074人 (前年比)153人増 |
484人 (前年比)422人増 |
632人 (前年比)503人増 |
過去10年間の推移がこちら。
全国的に子どもの数が減る中、さいたま市はここ2年、小中学校共に児童・生徒の在籍数が増えています。
不登校は令和2年に中学校で減少しましたが、令和3年は小中学校ともに増えています。
また、埼玉県の全児童・生徒数に対しての不登校の割合が2%(前年比0.4%増)なのに対して、さいたま市の不登校の割合は1.6%(前年比0.2%増)となっており、さいたま市は埼玉県の中でも不登校が少ない街といえるかもしれません。
しかし、埼玉県全体の長期欠席者数が前年の1.7倍なのに対して、さいたま市の長期欠席者数が前年の3倍であったり、「その他」においても異常な増加をしめしていたりと不可解な点もみてとれます。
ポイント
令和3年度は埼玉県全体では、この10年間で児童・生徒数は減っているにも関わらず不登校の数は増え続けています。
特に、小学生の不登校はここ10年で3.3倍になっており、引き続き不登校に対する地域全体の理解や支援が必要である。
「その他」「新型コロナ感染回避」の項目において異常な増加を示している。
特に「その他」については、学校又は教育委員会から推奨あるいは提示されたオンライン学習が含まれるため、長期欠席者の現状把握のためにも、今まで以上に詳細な情報開示が求められることになりそうです。
埼玉県、さいたま市の不登校への取り組み
では、実際に我が子が不登校になった場合の行政の支援どうなっているのでしょうか?
ここでは、埼玉県とさいたま市それぞれの不登校の主な取り組みをご紹介します。
埼玉県教育委員会運営
「子供たちとその保護者のための不登校支援サイト」
埼玉県の教育委員会では2000年8月より「子供たちとその保護者のための不登校支援サイト」を運営しています。
相談先情報や不登校の理解を深める情報、不登校向けのイベントなどの情報に加え、教育委員会らしく、高校受験に関する情報が行政側の視点から掲載されているのも嬉しいです。
親の会などの情報は多くないですが、埼玉の不登校情報を探しているなら一度は見ておきたいサイトだと思います。
▼こちらのサイトには以下の情報が掲載されています。
※クリックすると「子供たちとその保護者のための不登校支援サイト」の各場所に飛びます。
子供の支援のために(講演資料・講演動画)
不登校の子供とその保護者を支援する民間活動団体・施設
埼玉県の相談窓口
市町村の教育支援センター(適応指導教室)
不登校についての体験談
技能連携校・通信制高校
市町村の相談窓口
不登校に悩む子供などが参加可能な市町村事業
保護者と教員のための不登校セミナー
令和4年度埼玉県高等学校 入学者選抜(不登校の生徒などを対象とした選抜)
高校生活相談会
さいたま市教育委員会運営
「不登校等児童生徒支援センター(通称:Growth)」
さいたま市では2022年4月、不登校を含む長期欠席者の支援のために「不登校等児童生徒支援センター(通称:Growth)」を設置しました。
「不登校等児童生徒支援センター(通称:Growth)」は、不登校や病気等で長期欠席をしている児童生徒が、オンライン学習等のICTを活用した学習支援活動等を通して、学ぶ喜びや人とのつながりを実感し、社会的に自立していくことを目的としています。
※さいたま市HP,不登校等児童生徒支援センター(通称:Growth)の紹介より
さいたま市が開設しているので、対象はさいたま市立小学校・中学校・高等学校・中等教育学校に在籍している児童生徒が対象となります。
支援内容は、学校から配付されている1人1台端末を使った様々な学習を通じて、児童生徒が、人や居場所と「つながり」、仲間や楽しさ、自分自身の大切さを「見つけ」、自分のペースで「学び」、自ら「歩き出す」ことができるよう支援をしているそうです。
<プログラム 例>
・オンラインホームルーム
・オンライン体験学習・運動
・オンライン授業
昨年始まったばかりのGrowthですが、すでに多くのお子さんが活用しているようです。
【Growthについての連絡先】
教育委員会事務局/学校教育部/総合教育相談室
電話番号:048-711-5495 ファックス:048-711-5672
【さいたま市での相談窓口】
さいたま市では、以下6か所の教育相談室で不登校を含む、学校生活に関わる不安や悩みについての相談を受け付けています。
北教育相談室(さいたま市立つばさ小学校体育館2階)
電話番号:048-661-0050
住所:さいたま市北区日進町2-1915-1
堀崎教育相談室(さいたま市職員研修センター内)
電話番号:048-688-1414
住所:さいたま市見沼区堀崎町48-1
あいぱれっと教育相談室(さいたま市子ども家庭総合センター内)
電話番号:048-711-5433
住所:さいたま市浦和区上木崎4-4-10
岸町教育相談室(さいたま市立教育研究所内)
電話番号:048-838-8686
住所:さいたま市浦和区岸町6-13-15
美園教育相談室(美園コミュニティセンター内)
電話番号:048-711-7215
住所:さいたま市緑区美園4-19-1
岩槻教育相談室(ワッツ東館4階)
電話番号:048-790-0227
住所:さいたま市岩槻区本町3-2-5
■教育相談室の詳しい場所や連絡先はこちらからもご覧いただけます。
以上、埼玉の不登校の現状と行政での支援情報お伝えしました。
子どもの不登校や行き渋りで悩む保護者の皆さまが早く各種情報にたどり着き、安心してお子さんを見守れることを願っています。
不登校や行き渋りの子どもへの接し方にお困りの方へ
「子どもに話を聞いてくれないと言われる」
「親が変わるって具体的にどうすればいいの?」
親の学校プロジェクトでは、アメリカの臨床心理学者トマス・ゴードン博士が創始した子どもへの具体的な接し方を学ぶ親業講座を対面とオンラインで開催しています。
今より良い関係が作りたい!子どもに信頼される親になりたい!
そう思ったら、「親業講座」の受講がおススメです。
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