子育てコラム

「教育虐待」子どもをダメにする親の言葉-自分でやりたいっていったくせに!

2022年3月28日

親の学校子育てコラム

「教育虐待」という言葉を知っていますか?

「教育虐待」とは…

「教育熱心過ぎる親が、過度な期待を子どもに背負わせてしまい、思うとおりの結果が出ないと厳しく叱責してしまうこと」

都内の心療内科では、私立中学受験勉強で心身をおかしくした小学生の診療が急増しているそうです。(NHK報道)

 今回のコラムでは、主に中学受験にまつわるお話しをお伝えします。

私自身、大手塾での保護者向け講座を担当していますが、受験によって、親子共に追い詰められる現状を見聞きしています。

それと同時に、受験がきかっけで子どもの自己肯定感が高まったり、親が自分のコミュニケーションを見直すことで、親子の絆を深めるツールになることも実感しています。

受験には色々なことがある、それを親子で乗り越えてくのが中学受験。

希望校に合格することは勿論嬉しいですが、合否に関係なく受験が終った時に親子の絆が深まっている。

そんな受験であればなお嬉しいですね。

ただ残念ながら、子供に叱責し勉強させてきた少なくない家庭で、親子の関係が悪くなることもあります。

その変化の中で多いのは

  • 友達とのトラブルが増える
  • 自分の髪の毛抜き始める
  • 吃音などチックの症状がでる

中学入学後

  • 急に子供が口をきかなくなった。
  • 急に反抗的になった。
  • これまでと同じように勉強に口を挟もうものなら、「ババア黙ってろよ!」と、今まで聞いたこともないような口調で罵られる。 など

子供にとっては、「ここまで耐えたのだからもう干渉しないで欲しい」という気持ちの表れなのです。

反面、親にとって、特に中学受験ではこれまで親子二人三脚で受験に取り組んできた中、梯子を外され理不尽な仕打ちを受けたくらいの衝撃があります。

この状態では、子供の勉強に対する意欲も落ちているため、これまでと同じように叱責して勉強させるのは難しくなります。

もしこのような状態なのであれば、親がこれまでの関わり方を変えるのが吉。

いつまでも子供と二人三脚で人生は歩めません。

ピンチはチャンス。

親が子離れするためにも、今後の子供への関わりを考えるきっかけに出来るといいですね。

叱責の切り札「自分でやりたいって言ったんでしょ!」

 「教育虐待」

大好きな我が子、なぜ親はここまで子供を追い詰めてしまうのでしょうか。

多くの中学受験をする親御さんがよく使う言葉に

「子どもがやりたいと言ったから」

 というものがあります。

それは本当かもしれません。いえ、本当でしょう。一見、子どもの主体性を尊重している言葉ですが、残念ながら、親が子どもに対してこの言葉を使う時には、子供の言動を否定する際に使われることがほとんどです。例えばこんな風に…

「自分で決めたんだからやりなさい!」
「やりたいって言ったの自分でしょ!だったら勉強しなさい」

親業のお決まりの12の型で言う「命令」「脅迫」「説教」というところでしょうか。
お決まりの12の型をしていますか?

親は勉強のやる気を出させたいと思って言っている言葉ですが、往々にして、子どもに伝わるのは実際の言葉の裏にあるこんなメッセージだったりします。

「あなたがやりたいって言ったんだから、言われても仕方ないでしょ」

「私の言う通りにすればいいのよ」

「あなたがやりたいって言ったから、私がやってあげてるんでしょ」

「あなたが私を怒らせた、あなたが悪い、間違っている」

こういわれた子供は
「やりたいなんて言わなければ良かった…」

と心の中で後悔していることでしょう。

中学受験は親子の受験と言われます。

親の協力が不可欠で「中学受験」を親子共通のゴールに持つことはある意味当たり前。

ただ、教育虐待にまで落ちいてしまう親御さんは 「子どもがやりたいと言った」というのを「当たり前」にすることで、子供のために「勉強をやらせなくては!」という使命感と、「子どもに何を言ってもいいんだ!」という免罪符を得たと錯覚するようです。

子供から「やりたい!」という言葉が出ることは嬉しいことです。

それなのに、勉強させるための揚げ足取りに使っては反対に子供のやる気をそいでしまいます。

出来ればこのやる気の芽を摘むのではなく育てたいものです。

小学生の子どもが受験を決めるのは親の影響が大

「やりたいって言ったの自分でしょ!何でやらないの!!」

そんな気持ちになった時は考えてみて下さい。

小学生の子どもが受験を決めるというのは親の影響が大きいことを。

いえ、うちの子は自分から~というお宅も、親は大反対したのに子供がどうしてもって聞かなくって…という話はあまり聞きません

中学受験は基本「親がやらせたい」「親がやって欲しい」という思いから始まっているんです。

5、6年になると友達の影響で受験したいと言う子もいますが、それは親の影響が下地にあって、友達はきっかけという場合がほとんどです。 

受験自体は子供のもの。

でも発想を変えれば、親がやって欲しいことを子どもにしてもらうんです

だったら、勉強に乗り気でない子どもに叱責してやらせるのではなく

「受験をすることがどんなに良いことなのか」

を伝える努力

「やってみたいと思わせる」

言い方や環境やスケジューリング

これらを模索していくほうが、よっぽど子どもは勉強したい気持ちになるでしょう。

 そこで勉強が好きになり、子ども自ら受験したい、合格したい気持ちが強くなれば最高の受験です。

人に何かをさせる方法はひとつしかない

世界的ロングセラー「人を動かす」の著者であるデール・カーネギーの言葉にこんな一節があります。

人に何かをさせる方法はひとつしかない。あなたはその点をじっくり考えてみたことがあるだろうか。

そう、ひとつだけ。

そうしたいと人に思わせることだ。

改めて、そうだよな~と思いました。

この「教育虐待」は中学受験をする家庭だけの問題ではありません。

自分では教育熱心だと思っていなかった人までもが、高校受験大学受験で陥る可能性があります。

また勉強だけでなく、子供のスポーツの世界でも同じ構図が起きがちです。

勉強しない子どもにイライラしたら。

勉強させなきゃ!から

勉強したいと思わせるにはどうしたらいいかな。

そんな風に視点が変えられるといいですね。

  • この記事を書いた人

生駒 章子

親の学校プロジェクトの代表。元ガミガミママで今は親教育の専門家。
自身の原体験から、子育て支援ではなく「親支援」にこだわって活動中。趣味は読書(マンガ)

ファミリーワークス合同会社の代表。
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