「自己受容」の低い親が、子どもの「自己肯定感」を高めるために

子育てコラム25

具体的な親子の信頼関係を作る講座こちら

 

こんなことを聞いたことはありませんか? 


子どもにイライラするのは、親自身の「自己受容」「自己肯定感」が低いから


これって本当?

 

はい、これは本当の話。

 

親子のコミュニケーションプログラム「親業」の創始者で臨床心理学者のトマス・ゴードン博士は

「自分で自分の行動をどれだけ受け入れられるか」

ということと

「相手の行動をどれだけ受け入れられるか」

には「相関性」がある

「親業」トマス・ゴードン著

と言っています。

 

自分の行動に納得している人は、子どもの行動に対しても寛容になれるんです。


 

 でも、この「自己受容」や「自己肯定感」という言葉。

 具体的によく分からないまま使っている人も多く、単に親を焦らせるネガティブワードと化していることも多いです。

 

 

▶今回のコラムでは、「自己受容」と「自己肯定感」について考察していきます。

「自己受容」や「自己肯定感」と聞くと胸が痛い…という人は、読み終わった後、「自己受容」や「自己肯定感」の理解が深まり、今より少し楽になれるはずです。


「自己受容」と「自己肯定感」は全く別物


「自己受容」とは何か

 

自己受容とは

「ありのままの自分をゆがめることなく認識すること」


  • 私は紅茶が好き 
  • 子どもと遊ぶのは好きだけど面倒くさい 
  • 料理は好きだけど掃除は嫌い 
  • 人前で話すのは苦手だけど嫌いじゃない

 

「一貫性」がなかったり「矛盾」していてもいいんです。

今の自分を「わたしってこうなんだ」と、そのまま受け入れるのが「自己受容」です。  

  

注意したいのは、「自分のやっていることにOKを出す」など、自分自身のあり方を肯定する「自己肯定感」とは似ているようで、全く違うということです。

※「自己肯定感」については後ほど詳しくご紹介しています。

 



「自己受容」と「自己肯定感」のとらえ方の違いを簡単に比較してみると



<自己受容>

感じたそのままを評価を加えず認識する

↓ 

「自分の優柔不断な性格が嫌だ」  

自己肯定感>

自分の価値や存在を肯定的にとらえる

 ↓

「優柔不断な性格でもいいじゃん、そんな私もあり」  


 

そのまま認める「自己受容」と、肯定的にとらえる「自己肯定感」の違いがなんとなくでも分かるでしょうか。

 

 


「自己受容」が高い人と低い人の反応の違い



「自己受容」が高い人と低い子人では、出来事に対しての反応に違いが出てきます。

こちらの論文では事例として以下を紹介しています。

参考: 中学生の自尊心を低下させる要因についての研究

 

<男性の場合>

  • 自己受容が低い…相手に対して直接的に怒りを表出しやすい。
  • 自己受容が高い…そのまま放っておくといった反応が多い。

※ただし、自己顕示が強いと追いかけていって理由を聞くといった積極的な反応を示しがち。

 

<女性の場合>

  • 自己受容が低い…「どうしたのだろうと考える」といった不安と悩みに色づけられた反応が多くみられる。
  • 自己受容が高い…「後で理由を聞いて見よう」といった余裕のある反応が多い。

みなさんはお子さんに対してどちらの反応が多いでしょうか?

 

また、普段のお子さんの反応を照らし合わせてみると、お子さんの大まかな「自己受容度合」も分かりますよ。

 


子どもの「自己肯定感」について考える


 

これまでは親の「自己受容」についてでしたが

 

「子どもの自己肯定感を高めたい…」

そう思っている人も多いでしょう。

「自己肯定感」が高ければ

 

やってみようという意欲にあふれ、例え失敗しても困難を前向きに乗りきり、学業や仕事でも満足できる結果が残せるでしょう。

また、自分のことを認めているぶん、他人のことも認められますから人間関係も良好です。

 

「自己肯定感」がもたらす効果をみれば、親が子どもの「自己肯定感を高めたい!」と願うのは当たり前。

 

でも、親が子どもの「自己肯定感を高めよう」とアプローチしても、子どもの「自己肯定感」が上がったという実感が得られないことがほとんどではないでしょうか。

 

むしろ、良かれと思いほめたり質問することで、反対に自己肯定感を低くしてしまう場面も少なくありません。

 

 

親が子どもの「自己肯定感」を高めたいなら…

そんな残念な結果にならないように、まずは「自己肯定感」についてよく知ることが必要です。

 

この後は、分かっているようで分かっていない「自己肯定感」について考察します。

 


「自己肯定感」とは何か



 

自己肯定感とは

 

自分のやっているこにOKを出す。

「自分が好き」という自分自身のあり方を肯定する気持ち。

 

この「自己肯定感」という言葉は1994年に臨床心理学者の高垣忠一郎氏によって提唱された概念です。

 

当時、アイデンティティの形成が上手くできずに問題行動を起こす子どもの状態を説明する用語として用いられました。

 

 

その後、子どもにとどまらず、若者、大人を含む日本の文化的背景を表す概念の一つとして使用されるようになります。

 

 そんな、今では当たり前のように口にしている「自己肯定感」ですが

 


実は、「自己」を表す最上級の概念でもあります。

 

 

そのため、ただ単に「自己肯定感を高めよう!」というのは、「今からエベレストを登ろう!」と同じくらい、いきなり高みを目指す無謀な行為であり、具体性がないため思うような結果は得られません。

 

エベレストに登るには必要な技術や体力、備えが必要なように、「自己肯定感」の獲得にも段階的過程が必要です。

 

 


「自己肯定感」より「自己受容」が大切



その段階過程を知るのに役立つのが、自己肯定感を構成するこれらの要素。

 

  • 自己受容感・・ありのままの自分を認める感覚
  • 自己効力感・・自分にはできると思える感覚
  • 自己信頼感・・自分を信じられる感覚
  • 自己決定感・・自分で決定できるという感覚 
  • 自己有用感・・自分は何かの役に立っているという感覚

 

「自己肯定感」とは、これら自分についての要素を包括的に感じる感覚のこと。

 

どの感覚がどれだけ強いかで「自己肯定感」の高さが決まります。


 

そして、

そのすべての要素の土台となるのは「自己受容」です。

「自己肯定感」というのは、充実感を感じれば上がりますし、逆に失敗すれば下がります。

毎日上下するのが普通です。

 

 

でも、「自己受容」がしっかり出来ている人の振り幅は少なく、そのため、「自己受容」が低い人に比べて、相対的に「自己肯定感」は高まっていきます。

 

アドラー心理学をベースにしたベストセラー『嫌われる勇気』の中でも

「自己肯定ではなく、自己受容」 

つまり、自己受容こそが重要あり、自己肯定は重要ではない

自己肯定感が低すぎてつらい人のための処方箋 

と、かなり強い表現で「自己受容」の重要性が書かれています。

 

 

あなたが「子どもの自己肯定感を高めたい」と思うなら

やるべきは、子どもが「自己受容」出来るようサポートすることです。

 


子どもの自己受容を高めるために親が出来ること


では、子どもの「自己受容」を高めるために、親に何が出来るでしょうか。

 

中高生(特に女子)の時期は、親に「自己開示」することで自己受容が深められていくと言われています。

 

自己開示…

自分自身に関する情報を、何の意図もなく、言語を介してありのままに伝えること

 

あなたの日ごろのお子さんとの会話はどうですか?

 

  • お子さんとの会話で、解決を求めるようなことばかり話していませんか?
  • お子さんの話を「そんなくだらないこと…」と決めつけていませんか?
  • お子さんが弱気なこと、何かを悪くい言ったりすると、すぐに否定していませんか? 

 

あなたが意味がないと思っている子どもの何気ない自己開示は、今の子どものそのもの。

 

もし、その自己開示を親が一旦受け止められたなら、子どもは今の自分を認められたと感じ、自己受容は高まっていきます。

 

子どもの話を聞く大切さは、こんなところにも表れます。

 


親は子どものカウンセラー

 また、余談ですが「話を聞く」といえばカウンセラー。

カウンセラーにも色んな人がいますが、優秀なカウンセラーに必要な能力のひとつもまた「自己受容」だと言われています。

 

「自己受容」が出来ていないカウンセラーは相談者の問題を奪いがちで、そのままの相談者の話が聞くことが難しいのです。

 

これは親も一緒。

 

親自身が「自己受容」出来ていないと、子どもの話は聞けないものです。

 

裏を返せば

 

「自己受容」が進めば子どもの話がもっと聞けるようになるというこでもあります。

 


親の「自己受容」を高めるために


 親が「自己受容」を高めたいと思ったら、

 

まずは自分の「していること」「感じている」ことを認識することから始めてみましょう。

 

 例えば、「ダラダラしている」自分がいるのであれば

 

「ダラダラしていちゃダメだ!」

と思うのではなく

 

「ダラダラしている自分をダメだと感じているんだな」

と認識する感じです。

 

「一貫性」がなかったり「矛盾」していてもいいんです。

今の自分を「わたしってこうなんだ」と、そのまま受け入れてみてください。

 


これだけだと漠然としすぎて何からはじめればいいか迷うというときは、以下の5領域に自分について考えてみるのもいいでしょう。

 

「生き方」「対人関係」「性格」「容姿」「能力」

 

これらは、自己受容を計測するさい主要になっている項目です。

 親の私たちは、子どもが生まれたことで「生き方」「対人関係」「性格」「容姿」「能力」は大きく変わっているはずです。

 

  • いつまでも昔の自分にしがみついていないですか? 
  • 昔抱いた理想に近づこうと「〇〇するべき!」と自分や子どもに押し付けていませんか?

 

これらの領域が、「今の自分の感じ方」や「価値観」をそのまま認識する足がかりになるでしょう。

 


 

また、子どもの「自己受容」が自己開示によって促されるように

親も誰かに話を聞いてもらうことはとても有効です。

 

友達でも、旦那さまでも、実家の親でもカウンセラーでもいい。

 

話しを聞いてもらうことが難しければ、紙に書き出してみるのもいいでしょう。

 

とにかく安心安全な環境で自分の感じ方や価値観を認識することです。

 


「自己受容」がないところに「自己肯定感」は育たない




専門家の多くは

「自己受容」の高い親の子どもの「自己受容」は高く

「自己肯定感」の高い親の子は「自己肯定感」が高い

傾向にあるといっています。 



 子どもの「自己肯定感」を高めなければと焦る必要はありません。

 

 まずはあなたが自分自身の「自己受容」を高めること。

 

子どもの話に耳を傾け、身近な人との関係を大切にすることで、あなたと子どもの「自己肯定感」は自然に高められていくはずです。


目次に戻る  ホーム  次へ


執筆者:生駒 章子(いこま しょうこ)
元ガミガミママ。当サイト「親の学校プロジェクト」の代表をやっています。

筆者・プロフィール
講演・執筆・取材の ご依頼


その他のコラムを読む





ダメな親なんていない!ただ、やり方を知らないだけ
怒ってばかりの自分が嫌!
親子の具体的なコミュニケーションを学ぶ講座を提供しています。

子どもへの接し方を変えたい!
でも、どうすればいいんだろう…頑張っても上手くいかない…そんなママ・パパには目からウロコの講座です。。