子育てが上手くいかないときに知りたい

脳科学まとめ


<9~12歳編>

ここでは、脳科学の視点から9歳~12歳の発達をお伝えしています。

 

「今」の子どもの成長が分かることで、親の心配は随分軽くなるはずです。

お子さんに接する際の参考にしてみてください。

 



9歳から12歳はゴールデンエイジ!神経系の発達期


9歳~12歳は、大人では何度も繰り返さないと出来ない難しい技や技術を即座に身につけてしまう「ゴールデンエイジ」と呼ばれる時期です。

 

キッズスポーツの世界ではよく聞かれるワードですが、決してスポーツに限ったことではありません。

 

音楽や芸術、日常生活の様々な場面で新しいものを身につけるさいも同様です。

 

この時期についた技術や感性は、大人になっても忘れないと言われていますから、ぜひ様々なものにチャレンジしたいものです。

 



なぜこの時期にそんな能力が身につくの?



脳の部位にはそれぞれ役割があり機能を分担させています。

 

しかし、部位単体の機能や情報だけでは、体全体ではあまり効率よく機能してくれません。

 

そのため、脳は成長と共に各部位の神経細胞が他の部位の神経細胞とシナプスを介し神経回路を構築することで、脳の指令が体全体に効率よく届くようにしていくのです

 


 

この神経回路は3歳ごろに大人の60%、6歳ごろに80%、10歳ごろには95%以上とほぼ大人と同じ回路が形成されます。

 

そのため「ゴールデンエイジ」と呼ばれているのです。

 

 


プレゴールデンエイジ4歳~8歳


 ゴールデンエイジ手前のこの時期は「プレゴールデンエイジ」

「運動の引き出し」が作られる小脳の発達期です。

 

ゴールデンエイジの時期に「こうやって動け」と脳が指令を出したとしても、その指令を遂行するのに必要な情報「運動の引き出し」がなくては体は思うとおりに動いてくれません。

 

この「運動の引き出し」が多ければ多いほど、即座の習得は可能になるのです。

 

4歳~8歳頃。この時期までに様々な動きを体験させてあげることが、ゴールデンエイジを有効に活用できるカギとなってきます。

 

※「運動の引き出し」については、脳科学まとめ<6歳~8歳編>を参考にしてください。


ポストゴールデンエイジ13~14歳頃


 ゴールデンエイジ後のこの時期は「ポストゴールデンエイジ」とも呼ばれ、急激に背が伸び、筋肉や持久力も発達し始めます。

 

これまで、筋力、持久力が足りないことで出来なかった動きが出来るようになる反面、成長の個人差が大きい心身ともにアンバランスな時期であるため、感覚が狂い、これまで出来きた技術が一時的にできなくなったり、上達に時間がかかるといった現象が起きてくることもあります。

 

でも安心してください。

 

ゴールデンエイジで習得した技は忘れません。

伸び悩んでいるなと思うときは、バランスが整うまで焦らずじっくり、今ある技術を安定させることに重点をおくのがよさそうです。

 



「10歳の壁(小4の壁)」授業についていけない


小学校3~4年生以降になると背の高い子低い子など発達の差がひらきはじめます。

 

学習面でも、学習内容の高度化により

 

授業に「ついていける子」「いけない子」

の差が目立ちはじめ、高学年になるにつれ学力の差が拡大していくことがあります。

 

この個人差が顕著になる時期を、教育現場では『10歳の壁(小4の壁)』と呼び、気を付ける時期としています。

 



なぜ授業についていけなくなるのか



例えば算数では…

低学年の学習では、足し算、引き算、九九のような暗記だけでも解ける問題が、高学年になると、図形問題や文章問題など読解力や思考力が問われる学習へと変わっていきます。

 

国語では…

話し言葉中心の学びから、抽象的な概念の理解が必要とされる読解問題や作文など書き言葉中心の学習に変化します。そのため

 

現時点での「抽象的概念の理解」の度合で、授業に「ついていける子」「いけない子」の差が出てきてしまうんです

 

 


「抽象的な概念」とは?



 具体的、抽象的と言われてもピンとこない方のために、「抽象的概念」を極簡単な事例でご説明します。

 

例えば、「通学班で学校に行く」具体的です。

 

これを抽象化してみると…

「みんなでいくやつ」
「ならんであるくやつ」
「たまにママがついてくるやつ」
「1年生を高学年がはさんでいくやつ」

 さらに、この抽象化されたものの「共通項」を見つけ、一般化することで抽象的概念となります。

この場合の抽象的概念は

 

「みんなが安全に学校に行くために出来ること」

 とも言えるかもしれませんね。

 

※どう「抽象化」するか、どんな「抽象的概念」を持つかは一人ひとり異なります。



授業についていけないのは「前頭前野」のしわざ?


この抽象的概念の獲得には、大脳新皮質の「前頭前野」の発達が深く関わってきます。

 

  「前頭前野」は、「考える」「記憶する」「アイデアを出す」「感情をコントロールする」「判断する」「応用する」など、人が人間らしく生きるために必要な高度な機能を担っており、「前頭前野」の発達こそが、抽象的概念の獲得を促してくれます。

 

 

 

また、「前頭前野」は脳の中でもっとも発達が遅く、30歳ごろまで神経回路を組み換えながら発達します

 

 上記の例は”登校班”でしたが、数字や漢字自体がすでに抽象化されたものであることを考えると。

 

「なぜ分からないの!」

と𠮟りつけて公式ばかり無理やり覚えさせるより、「抽象化はまだ難しいんだな」「成長のタイミングは人それぞれなんだ」と思い、身近な例を交えて具体的に説明したほうが子どもの理解は進むでしょう。

 

「十で神童十五で才子二十過ぎれば只の人」

ということわざがあるように、今は周りの子と差があったとしても、いずれ同じように「前頭前野」は発達し抽象的概念、論理的な思考を身につけていくものです。

  


9歳ごろ以降の子どもの道徳観


 スイスの心理学者ピアジェによると、子どもの道徳観には2つの発達段階があると言っています。

  • 他律的道徳観(5~9歳)
  • 自律的道徳観(9、10歳~)

 

小学校4年生~の子どもは自律的道徳観をもちはじめる

 

 9歳頃までの他律的道徳観では、物事の良し悪しを判断するとき、親や先生などの大人が承認するか否かが重要になってきます。

 

大人(親や先生)が言ったルールは絶対に守らなければならず、ルールを破ると厳しい罰を受けなければならない、それらは絶対に変えられないものだと思っています。

 

しかし、9,10歳以降の自律的道徳観では、絶対的な善悪は存在しないことを理解し、他人の意図や状況も考慮に入れながらルールや道義的責任、罰などについて判断しはじめます。

 

道徳観が大人に近づいていくのです。

 

例えば…

「親が掃除するのを手伝おうと思い、洗剤を大量にこぼしてしまったAちゃんと、洗剤で遊んでいたら少しだけこぼしてしまったBちゃんがいるとします」

 

他律的道徳観の段階にいる子どもに、どちらがより悪いか尋ねると、「Aちゃんが悪い」と答えるのです。

 

これが、自律的道徳観を持ちはめる9、10歳ごろになると

 

「遊んでこぼしたBちゃんも悪い」

 と考えられるようになります。 

 

 

他律的道徳観から自律的道徳観へ変化する時期は、前頭前野の発達やこれまで育った環境などの要因で個人差があります。

 

お子さんがまだ他律的道徳観の段階だと感じた時は

 

「もう高学年でしょ!人の気持ちも考えなさい!」

 

と叱るよりも、お子さんの話を聞き、必要があれば「お友達はこんな風に思っているかもね」など、相手の気持ちや状況を話してあげると、子どもが自律的道徳観を獲得するのを後押しできます。

 



9歳~12歳の社会的発達


この頃の子ども達は「親といるのを見られるのを嫌う」「やたら反抗的な態度をとる」「嘘をつく」「学校などでの出来事を話さない」などの行動が目立つようにもなり、友達関係に変化が出てきます。

 

 

これまでは帰り道がいっしょだから、一緒の保育園だったからという理由でなんとなく遊んでいたものが、自分で遊びたい友達と遊ぶようになり、仲間を作り集団で行動をすることが増えてきます。


社会性の基礎を身につけるギャングエイジ期



家族より友達の存在が大きくなるこの時期はギャングエイジと呼ばれています。

 

クラスなどで、自分の趣向の合う特定の仲間たちと集団をつくり一緒に行動することが増えてきます。

 

ともに遊ぶ楽しさを感じる時もあれば、嫌だと思いながら同調すること、集団同士の争いが起こることもあるでしょう。

 

子ども達はそこから、集団の中での役割や責任、ルールを守ることの大切さ、競争や対立で育む精神、自己主張の方法や対人関係の築き方など、将来の社会生活に必要なさまざまなスキルや知識を得ていきます。


 

大人にとっては扱いに困るギャングエイジですが、子ども達にとっては、親からの自立と社会性を身につけはじめるファーストステップ。

 

親を困らせる子どもの行動は、前頭前野の発達、子どもの成長とともに治まってくるものです

将来、自立した社会人になるためには必要なステップだと理解出来ると親も楽に過ごしていけるでしょう。

 


自尊心・自己評価が上がる子、下がる子



 

 相手の立場になって考えることを「他者意識」といいます。

 

10歳ごろになると「他者意識」が発達し相手の視点にたってものを考えようとする姿勢がみえてきます。

 

また、「他者意識」の芽生えと共に、「他人との比較を通じて自分を認識する」ようにもなってきます。

 

「あの子の方が頭いい」「僕の方が足が速い」「あの子はいつも同じ服を着てくる」「わたしは先生に好かれている」など

 

こうして自分の「出来ること」「出来ないこと」がはっきり分かってくることで、自身の自己評価が上がる子もいれば、自己評価や自尊心が低下させてしまう子どもも出てきます。

 

自尊心とは…他人からの評価ではなく、自分が自分をどう思うか、感じるかを大切に出来ること。

 

自尊心が低下してしまうと、自分と相手を比較して嫉妬やネガティブな感情も生まれ、気に入らない相手を無視したり、その人について悪いうわさを流したりといった「関係性攻撃」につながってしまう場合があります。

 

こんな時、頭ごなしに叱っても、さらなるネガティブな感情を子どもに引き起こし、余計自尊心を低下させてしまうことでしょう。

 

他者との比較によって自己評価が低くなった子どもに必要なのは、自尊心を回復させることです。

 

 

自尊心は、「そのままの自分を認められた経験」「励まされた経験」「自分で選択したという経験」から作られます。

 

 

ですから、まずは「子どもの話を聞く」ことで、そのままの子どもを認めてあげられるといいですね。

脳科学で知る「0歳~大人への成長」まとめ

次は、<中学生編お伝えします。


▶▶<中学生編>(準備中) 


まとめ執筆者:生駒 章子(いこま しょうこ)
元ガミガミママ。当サイト「親の学校プロジェクト」の代表をやっています。
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