子どもが何を考えているのか分からない!そんな時役立つマズローの欲求5段階説

具体的な親子の信頼関係を作る講座こちら

人は相手が何を考えているのか理解できないと不安になる


子どもが「何を考えているのか分からない!」



そう感じることはありませんか?

  

  • 何を言っても言い訳ばかり…
  • いつまでもグズグズする…
  • 当たり前のことすらやらない…
  • 何度言っても勉強しない…
  • 自分で決めた約束を守らない…
  • 学校に行きたがらない… 

 どうしたの? と聞いてもその場限りの言い訳ばかり。

下を向いたまましゃべらない。

こちらが悪いのかと思うほど不機嫌な態度で悪態をつく。

 

そんな「何を考えているのか分からない」態度にイライラを募らせる人も多いでしょう。

 

 人は、相手が「何を考えているのか分からない!」と感じると、不安になったり「その態度は何なの!」と腹立たしい気持ちになるものです。

 

そして、これが何度も繰り返されると、子どものやることなすこと気にいらない!という慢性的なイライラに繋がっていきます。

 


「すべての行動には目的がある」



オーストリア出身の精神科医であるアルフレッドアドラーは目的論を唱えています。

目的論とは、「すべての行動には目的がある」というもの。

 

親にはただのわがままな行動も、実は、子どもにとっては目的があり、その行動でかなえたい「欲求」があるわけです。

 

この子どもの欲求さえ分かれば、子どもが考えていることを理解するきっかけになるかもしれません。

 

今回は、お子さんの欲求をつかむのに参考になる「マズローの欲求5段階説」をご紹介します。

 

子どもが「何を考えているか分からない…」から、「もしかしたらこうかな…」と考えるキッカケになると嬉しいです。

 

 




子どもの考えている事の理解を深める!マズローの欲求5段階説


 

マズローの欲求5段階説は、アメリカの心理学者アブラハム・マズローが、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」と仮定し、社会生活において理想の自己イメージと現実が一致している状態(自己実現)に至るまでの人間の欲求を5段階の階層で理論化したものです。

 

マズローは、1908年4月1日、アメリカ合衆国、ニューヨーク州に生まれた心理学者で、人間心理学の生みの親と言われている人物です。

それまで、人間心理学で主流だった精神分析と行動主義とは異なり、人間の肯定的側面を強調した人間観にもとづく心理学を提唱しました。

 

このマズローの理論は、子育てだけでなく、ビジネスや看護の分野でも活用されています。

 

マズローの欲求5段階説は、低次の欲求から高次の欲求に向かって以下の5つの階層に分けられます

 


生理的欲求


「生きていくために必要な本能的な欲求」

(食事・睡眠・排泄など)


自然災害によって避難したものの、物資不足で食べるものがない。避難所の仕切りがなく周りが気になって寝付けない。トイレが行列になっていてすぐに使用出来ないなどは生理的欲求が満たされない状態です。

 

  もちろん、通常はこれほどの状況があるわけではないでしょう。   しかし、子どもは小さいほど生理的欲求は我慢が出来ないもの。 実は、親を困らせている愚図りの原因が、生理的欲求である場合も多いです。

 

のどが渇いたと泣く幼児に「先ずは片付けなさい!」

食べながら寝そうな幼児に「起きて!食べてから寝なさい!」

と言っても余計愚図るでしょう。

 

もちろん大人も、残業続きで睡眠時間が十分でない、食事がとれないという状況では生理的欲求が満たされていないと言えます。

 

ちなみに、一般的に動物はこの欲求以上の欲求を持つことはあまりありません。

 

人間らしい生活をするためにも、生理的欲求は早めに満たしていきたいものです。

 



安全の欲求


「心身の安全の確保、安定した生活を送りたいという欲求」

(心身の安全、経済的安定、良い健康状態など)


安全性の欲求は、特に発達段階にある小さな子どもに顕著にみられます。

例えば…

「うちにはお金がない!」と事あるごとに聞かせられると…

子どもは「自分は学校に行けるんだろうか」と不安になります。

 

子どもが「学校に行きたくない」言っている場合

子どもにとって学校は安全の欲求を満たしていません。

 

「学校に行きなさい!」というばかりではなく、先ずは、子どもが安心できる状態を作ることを考えた方がいいでしょう。

 

 大人の場合、安全性の欲求が満たされている人も多いです。


でも、大人になるにつれ反応を抑制することを覚えるため、本当は不安を抱えていても表面化しずらいこともあります。

 

健康不安、雇用不安、大人だって「家に帰りたくない 」と感じる事もあるでしょう。

それらは、安全性の欲求が満たされていないといえます。

 

また、生命保険や学資保険などのセーフティ・ネットは安全の欲求を満たすもののひとつであったりします。

 

 


社会的欲求(所属と愛の欲求)


 「家族や組織など、何らかの社会集団に所属して安心感を得たいという欲求」


生理的欲求と安全欲求が十分に満たされると、この欲求が現れます。

 

これは、学校や会社など何らかのチーム、組織に所属したい、受け入れられたいという欲求です。

 

自分がその集団で役に立っていると実感することで満たされ、それにより、自分が社会に必要とされている、果たせる社会的役割があるんだという感覚をもたらします。

 

エリクソンの心理社会的発達理論で紹介されているアイデンティティーの獲得は、この所属の欲求がベースとなるでしょう。

 

 例えば

学校に行かない選択をした子どもが、他者と長期間接点を持っていないのであれば…


社会的欲求が満たされていないかもしれません。

 

この場合、フリースクールや各種居場所などで信頼できる他者とつながったり、ネットを介し、同じ趣味を持つ心許せる仲間を持つことでも社会的欲求を満たしてくれます。

 

「どこにも所属していない」と感じる寂しさは、孤独感や社会的不安を感じやすくなり、鬱に陥るケースもあるのです。

 

また、例え学校に通っていたり会社に所属していても、自分が受け入れられていない、必要とされていないと感じれば社会的欲求が満たされていないといえます。

 

「自宅と職場以外のなんとなく居心地のよい場所」としてサードプレイス(第三の場所)を持つといいなどと言われますが、その人にとって、ひとつでもそんな場所があるといいかもしれません。

 

もちろん、家庭がその役割を果たせれば、子どもにとっては大変心強いことです。

 


承認の欲求


「他者から尊敬されたい、認められたいという欲求」


何らかの社会集団に所属し、社会的欲求が満たされると、今度はただ所属するだけではなく、所属する集団の中で「高く評価された!」「自分の能力を認められたい」という欲求が出てきます。

 

部活でレギュラーになりたい!

リレーの選手に選ばれたい!

 などと望むことは承認の欲求があるからこそです。

 

また、「クラスのまとめ役に推薦されたり」「先生からお手本を頼まれる」などの責任と権限を与えられることでも承認の欲求は満たされます。

 

この承認の欲求が満たされると、自分の行動に対するモチベーションが上がります。

 

反対に、満たされないと、劣等感や無力感などの感情が生じることもあります。

 


また、承認の欲求には以下の二つのレベルがあります。


■低いレベルの尊重欲求

 「誰かに褒められたい」という気持ち

 

例えば

テストでいい点が取りたい!

部活でレギュラーになりたい!

SNSの投稿に「いいね!」が欲しい

と思うのも「低いレベルの承認欲求」のひとつだといえます。

 

低いレベルの尊重欲求は、他者からの尊敬、地位への渇望、名声、利権、注目などを得ることによって満たすことができます。

 

しかし、マズローは、この低いレベルの尊重欲求にとどまり続けることは危険だとしています。

 


■高いレベルの尊重欲求

「自分が自分を承認できているか」が大切

 

「高いレベルの承認欲求」では、他人にどう見られるかではなく、自分に対する自分自身の評価が重視されます。

 

例えば

SNSの投稿は、自分を内外一致で表現出来たときに達成感を感じる

レギュラーにはなれなかったけど、以前より上手くなって自信がついた

など、技術や能力の習得、自己尊重感、自己信頼感、自立性などを得ることで満たされていきます。

 



自己実現の欲求



「自分らしく生きていきたいという欲求」

 社会生活において、理想の自己イメージと現実を一致させたいと願うのが自己実現の欲求です。

 

私たちは「こうだったらいいな」という願望を持っています。

 

人によっては「アイドルになりたい」「バスケット選手になりたい」「建築家になりたい」など具体的な夢かもしれない、「海外で暮らしたい」「お金持ちになりたい」「おしゃれな人になりたい」など漠然としたものかもしれません。

 

 どちらにせよ、私たちの欲求が完全に満たされるには、社会的に成功するだけでなく、「理想的自己イメージ」との同一化を目指す自己実現を果たす必要があるのです。

 

例えば

「真面目で良い子」だと親や教師から評価が高かったとしても、本当は「もっと自由に生きたい」と願っていたとしたら、今の自分が好きになれないでしょう。

 

だれもが羨む大手企業に入社し仕事ぶりを評価されたとしても、「本当に自分がやりたい仕事」で得たものでなければ自己実現の欲求を満たしておらず、自分の生き方に不満を感じることになるでしょう。

自己実現の欲求は、見返りは求めず「理想とする自分になりたい」と願う欲求でもあります。

 

組織で一定の地位や評価を得ていても「ここでは自己実現ができない」と判断すると別の場所に移ってしまうこともあります。

会社でみられる優秀な人材の退職はこれが理由の場合が多いといわれています。

 


自己実現している人の特徴


マズローは、自己実現を果たした多くの歴史上の人物の事例研究の中から、自己実現的人間の特徴として15の特性をあげています。

 

1・現実をより有効に知覚し、より快適な関係を保つこと

未知なるものにおびえたり、驚いたりすることなく気楽に接し、あいまいなものや形をなさないものに耐え、好む。

 

2・受容(自己・他者・自然)

現実をあるがままに見、曲解はしない。

防衛、保護色、見せかけの態度がなく、他人のそのような不自然さを嫌う。

 

3・自発性、単純さ、自然さ

行動、思想、衝動などにおいて自発的である。行動は単純で、自然で、気取りや効果を狙った緊張がない。


 

4・課題中心的

自身以外の問題にも強く心を集中させる。自己中心的ではなく課題中心的。

 

5・超越性─プライバシーの欲求

孤独やプライバシーを好む。

しかし、独りでいても、傷ついたり、不安になったりしない。

自分自身とその運命に責任感をもっている。

 

6・自律性─文化と環境からの独立・意思・能動的人間

外部から得られる愛や安全などによる満足は必要とせず、自分自身の発展や成長のために、自分自身の可能性と潜在能力を頼みとする。


 

7・認識が絶えず新鮮であること

人生の基本的なものごとを、何度も新鮮に、純真に、畏敬や喜び、驚きや恍惚感などをもちながら認識し、味わうことができる。

 

8・神秘的経験─至高体験

日常の中で、「幸せ」という言葉では物足りない、言葉にできないくらいの幸福な感覚を感じる状況・状態・経験をしたことがある。

 

9・共同社会感情

人類一般に対して、時には怒り、いら立ち、嫌気がさしても、無償の愛、人類愛的な側面で同一視や同情・愛情の感覚を持っている。


 

10・対人関係

おおよそすべての人に対して、親切で忍耐強い。

しかし、偽善的でうぬぼれが強く、尊大で、自己誇張的な人に対しては手厳しい。

 

11・民主的性格構造

自分の知らないことを教えてくれたり、自分がもっていない技術をもっている人たちを、心から尊敬し、自分は謙虚でありえる。

 

反面、邪悪な行動に対しては、あくまでも闘うという傾向をもっている。

 

12・手段と目的の区別、善悪の区別

手段と目的を明確に区別でき、手段よりも目的の方にひきつけられる。

 

他の人にとっては手段にすぎない経験や活動を目的とみなす。

目的への到達と同じく、その過程そのものを楽しむことができる。


 

13・哲学的で悪意のないユーモアセンス

 悪意のあるユーモア、優越感によるユーモア、権威に対抗するユーモアでは笑わない。

 

彼らがユーモアとみなすものは、笑いよりは微笑を引きだすような、計画的ではなく自然にあふれ出るような、思慮深く哲学的なユーモアが多い。

 

14・創造性

 特殊な創造性、独創性、発明の才をもっている。

その創造性は、健康な子供の天真爛漫で普遍的な創造性と同類である。

 

15・文化に組み込まれることへの抵抗

重要ではなく、変えることができない、個人として主要な関心事ではない事柄の大部分を受け入れるが、急速な変革が可能な時や決断、勇気が必要とされる時には、闘志を燃やす。

 

社会の規制ではなく、自らの規制に従っている。

 



自己実現した人は完璧な人ではない



マズローは、自己実現的人間の特徴とともに欠点もあげています。

彼らは、愚かで、無駄で、思慮に欠けたところもある。

虚栄心や自尊心、自分自身の作品や、家族、友人、子どもを偏愛したり、かんしゃくを起こし、無慈悲になることもある。

 

また、精神を集中するあまりに、ぼんやりとしてユーモアを失ったり、日常の社会的丁寧さを忘れることもある。

 

他の人たちに対して、苦痛で不都合で、無礼で傷つけられやすい言動をとる時もある。

 

親切すぎて失敗する場合もある。

 

マズローは、世の中には完全な人間は存在しない、ということも伝えているのです。

 



マズローの欲求5段階説で子どもの欲求を探そう!


欲求はその時々によって変化する

子どもが「何を考えているか分からない…」から、「もしかしたらこうかな…」と考えられる親になるために。

 

これからお子さんの行動をマズローの欲求5段階説に当てはめようと考えている方も多いと思います。

 

その際、ぜひ気にしてほしいことがあります。

 

それは、最初の4つの欲求は一度満たされたからといって、その後もずっと満たされ続けているわけではないということです。

 

当たり前のようですが、意外と見落としやすい視点です。 


例えば

前のクラスでは仲の良い友達もいたし学級委員に選ばれ社会的欲求、承認の欲求が満たされていたけれど…

 

クラスが変わり、友達が出来ず孤独を感じることで社会的欲求が満たされなくなった…

この場合、学校のことをあれこれ詮索するよりも、家族としては、家の中で少しでも社会的欲求が満たされるよう、安心して過ごせる環境を作ってあげたいものです。

部活でレギュラーに選ばれ(承認の欲求)、良いプレイを見せたいと臨んだ試合にもかかわらず…

 

試合中にのどが渇きすぎて(生理的欲求)試合に集中出来ず不甲斐ないプレイに終わった…

 この場合、試合後なら、助言や叱咤激励をするまえに、「のどがカラカラで思うようにプレイ出来なくて悔しかったね」と生理的欲求が満たされなかった悔しさも分かってあげたいものです。

 

欲求は一度満たされたからと言って終わりではなく、絶えず様々な欲求が変化しているんだということを意識してみてください。

 


子どもが何を考えているのかな…と思ったら

そして、その変化する子どもの欲求を見逃さないためにも、今の子ども自身をしっかり見てあげることが何より大切です。

特に、子どもの態度にイライラして「何を考えているのか分からない!」そう感じたら…

 

今この子は何をしたいのかな?

今この子は、何の欲求が満たされていないんだろう?

 

そんな風に思ってみると、「何を考えているか分からない…」から、「もしかしたらこうかな…」と考えるキッカケになるでしょう。

 

「すべての行動には目的がある」

ぜひ、あらゆる欲求の可能性から、子どもの内面に思いをはせてみてください。

 


親にこそ必要!マズローの欲求5段階説


「何を考えているか分からない親」になっていないか

また、マズローの欲求5段階説は子どもばかりではなく、親のあなた自身の欲求を見つけ出す助けにもなります。

 

最近イライラしているのはなぜ?

 

何を言っても泣き止まない子どもにイライラするのは…

 静かな部屋で休みたい親の安全の欲求が満たされていないのかもしれません。

 

学校に行きたがらない子どもにイライラするのは…

 ダメな親だと思われたくない親の承認の欲求が満たされていないのかもしれません。

 


子どもの考えていることが分からない!と理解することを放棄したり、気に入らない子どもの行動をあれこれ批判するよりも、自分の欲求を満たす方法を考えた方が、親の自己実現への扉は近づいていきそうです。

 

マズローは、自己実現を果たした人は少ないと言っています。

 

自己実現の欲求を持つということは、なりたい自分になるという人生への挑戦。

親も子も、生きていく限り続いていくでしょう。

 

そして、欲求を妨げる問題を一つ一つ克服していく過程こそ、人生そのものなのかもしれません。

 

 

まとめ執筆者:生駒 章子(いこま しょうこ)
元ガミガミママ。当サイト「親の学校プロジェクト」の代表をやっています。
筆者・プロフィール
講演・執筆・取材の ご依頼

ダメな親なんていない!ただ、やり方を知らないだけ!
怒ってばかりの自分が嫌!
親子の具体的なコミュニケーションを学ぶ講座を提供しています。

子どもへの接し方を変えたい!
でも、どうすればいいんだろう…頑張っても上手くいかない…そんなママ・パパには目からウロコの講座です。。