presented by親の学校プロジェクト
子育てが上手くいかないときに知りたい脳科学&発達心理学
「心と行動の学問」と呼ばれる心理学。
その中でも、人の加齢に伴う発達的変化を研究する発達心理学を知ることは、人を育てる上で、また自分が成長する上で今必要なものが見えてきて、子育てはグッと楽になります。
発達心理学といえば、エリク・H・エリクソンの「心理社会的発達理論の8段階」とジャン・ピアジェの「認知発達の4つの段階」。
ここでは、ジャン・ピアジェの「認知発達の4つの段階」をまとめてご紹介しています。
あなたの子育て、人育て、自分育てが今より楽しくなりますように。
ジャン・ピアジェは、スイスの心理学者。20世紀において最も影響力の大きかった心理学者の一人。
子どもの認知発達理論を4つのステージに分類した「ピアジェの認知発達の4段階」は、子どもの言語、世界観、因果関係、数や量の概念などがどのように発達するかを理解するうえで大変役立ちます。
赤ん坊はこの時期に身近な環境に関わり、吸う、つかむ、たたくなどの身体的な活動を身につけます。
この段階の特徴は「循環反応」と「対象の永続性」
「循環反応」
ふと何かを触ってみたら感触が面白かったので、何度も触ってみる、といったこと。
「対象の永続性を理解すること」
物を見ることができなくても、物が存在し続けていることを理解する能力のこと。
生後7~9ヶ月頃になると、物の永続性を理解し始める。
例えば、ブランケットの下に子どものお気に入りのおもちゃを隠した場合、子どもは物理的におもちゃを見ることができなくとも、ブランケットの下を探そうとするようになる。
この能力を獲得すると、乳児は養育者といないいないばぁを楽しむことができるようになる。
この能力は、8ヶ月頃から起こる人見知りにも関係する。
ピアジェの理論における模倣行動の発展水準は以下の3つに分類されます。
~生後8カ月頃(手の運動と発声の模倣期)
自分が見たり聞いたりできる、自分と相手の動作・発声のみを模倣できる。
生後8カ月~12カ月頃(顔の模倣期)
前段階と異なり、見ることのできない自分の表情を、相手の表情に近づけることができる。
生後18カ月~(延滞模倣期)
相手の動作を記憶し、あとから模倣できる。
この段階の子どもたちは、心の中で行う計算のような特定の認知的操作を行うことができないため、日常生活においてさまざまな物体、出来事、状況に遭遇するとき、言葉や画像を含む精神的なシンボルを適用しはじめる。
加えて、子どもたちは彼ら自身ではない人々(例えば、先生やスーパーヒーロー)の真似をするごっこ遊びに没頭し始める。
そして、さまざまなおもちゃを使って、ごっこ遊びをより現実に近づけようとする。
前操作期の子どもが世界をどう認識するか重要なキーワードが「実念論」「アニミズム」「人工論」の3つです。
実念論:自分のものの見方が絶対的だと思い込む。
アニミズム:非生物にも人間のような思考や感情があると思い込む。
人工論:自然物も人間が作ったと思い込む。
なお、前操作期はさらに「象徴的思考期」「直観的思考期」に分けられる。
象徴的思考期の子どもは、もののイメージを作り上げて頭のなかに保存し、あとで取り出して使うことができるようになる。
つまり、目の前にないものを思い出し、絵に描いたりすることが可能になる。
2~3歳の子供は「模倣期」にあり、日常生活における大人の様々な動作を真似をしたがる時期。
3~4歳くらいの子どもたちはしばしば、自己中心性を示す。
■自己中心性とは…相手の立場で想像することができず、たとえば自分の知っていることは当然相手も知っているだろう、他の人が自分と同じ出来事を経験し、同じ感情を持っているだろうと思い込んでしまうこと。
直観的思考期の子どもは、経験したことのない状況を説明するとき、絵本のような空想ではなく理性を用いるようになる。
例えば、「家が地面から生えてきた」ではなく、「人間が材料を組み合わせて家を建てた」と言うようになります。
しかし、まだ論理的思考にはいたらず、中心化という思い込みの特性を有している。
■中心化とは…対象のうち最も目立つ側面だけに注意を集中して、それ以外の部分を無視すること。
例えば、口径の広いビーカーに水が入っているとして、それを子どもの目の前で細長いビーカーに移し替えます。
すると、子どもは高くなった水面ばかりに意識が向き、水の量が増えたと思い込んでしまうこと。
この思い込みは、中心化という特性によるものです。
■記憶表象が未発達で、原則として実物しか推論の操作対象にすることができない。
■時間や空間的な制約に縛られており、言語を用いた思考はまだ不得意。
■他者の存在は自覚しているが、自分との区別があまり明確ではない(強い自己中心性) 。
■目の前にある実在物に依拠した推論にしたがう。見た目に大きく影響を受ける。
■基準にしたがって分類したり並べ替えたりすることが不得意である。
■対象の永続性といった再認記憶が確立される。再生記憶については未発達。
しかし、抽象的なことや仮定についてはまだうまく考えられず、「みかん」や「机」のように具体的なものにのみ論理を当てはめることができます。
この段階で重要なのは、子どもが「保存の概念」を理解できるようになることです。
例えば、短く幅の広いカップに入った液体を、背の高い、痩せたガラス容器に移し替えるなどしても液体の量は変わらないこと。
ものの見た目が変わっても、ものの量や数が変わるわけではないことが分かるようになる。
そして、子どもが論理的に考え始めるにつれ、前の段階の自我主義が消え、他の人がどのように考え、感じるかも考え始める。
誰もが必ずしも同じ思考、感情、および意見を共有するわけではないことを理解し始めます。
しかし、この時点で論理を使うのは子どもにはまだ難しく、抽象的で仮説的な概念に苦しむ傾向があります。
■具体物であれば、実在していなくてもある程度の推論を行うことができる。
■内面化された心的操作を利用できるようになる。
■他人の心理状態を推測できるようになる。
■数、量、長さ、重さ、体積、時間、空間などの科学的な基礎概念が獲得される。
■仮想的な事実についての推論はあまり得意ではない。
この段階になると、抽象的なものや仮説上の出来事についても合理的、系統的に考えられるようになります。
■自分で実際に体験したものでなくても、説明・映像などから具体的なイメージを描くことができる。
■具体的な事象・時間の流れに捉われずに「物事を広い視点で考える」ことができる。
■これまで得た知識・経験を応用して仮説を立て、結果を予測して行動・発言することも可能です。
<子どもが形式的操作期に入ったかどうかを確かめるには>
「ケリーはアリーより背が高く、アリーはジョーより背が高いとしたら、身長がいちばん高いのは誰かな?」
のような質問をするとよい。
形式的操作期にいる子どもは、頭のなかだけで考えて答えを出すことができます。
一方、絵を描かないと分からない子どもは、まだ具体的操作期にいるようです。
この段階の子どもは、道徳とは他人の作ったルールや法律に従うことで、それらは絶対に変えられないものだと思っています。
そして、ルールを破ると厳しい罰を受けなければならないと信じています。
他律的道徳観の特徴のひとつは、行動の意図よりも結果を重視して善悪を判断すること。
例えば
「親が掃除するのを手伝おうと思い、洗剤を大量にこぼしてしまったAちゃんと、洗剤で遊んでいたら少しだけこぼしてしまったBちゃんがいるとします」
他律的道徳観の段階にいる子どもに、どちらがより悪いか尋ねると、Aちゃんが悪いと答えるのです。
この段階の子どもが持つ道徳観は、自分自身のなかにあるルールに左右されるようになります。
また、自律的道徳観の段階にいる子どもは、絶対的な善悪は存在しないことを理解し、他人の視点からも考えられるようになるそう。他人の意図や状況も考慮に入れ、ルールや道義的責任、罰などについての判断力が大人に近づくのです。
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