子育てが上手くいかないときに知りたい

脳科学まとめ


<6~8歳編>

ここでは、6歳~8歳ごろに「身につけたい力」「子どもの発達」についてお伝えします。

 

「今」の子どもの成長が分かることで、親の心配は随分軽くなるはずです。

お子さんに接する際の参考にしてみてください。

 


この時期限定!8歳までが小脳の発達期


勉強より大切な「運動の引き出し」

先ずはこの時期、勉強より何より一番気にしてほしいのは「運動の引き出し」を増やすことです。

 

「運動の引き出し」というのは、「動きのパターン」のこと
子ども達にはこの時期、出来るだけ多くの「動きのパターン」を知ってほしいんです。
 
それはなぜかというと…私たちが何気なくやっているこれらの動作
  • 姿勢を保ってバランスをとって歩く
  • 倒れそうになった時に手をつく。
  • ボールを投げる
  • コップに水をそそぐ
  • 字をバランスよく書くets…

すべて、いくつもの動きのパターンの連続だからです。

 

例えば、「ボールを投げる」という動作ひとつとってみても


ボールをつかむ→ボールが落ちないように腕を上げる→投げる先に体重移動する→腕を振る→ボールを手から離す。

 など、多くのパターンが入っています。

そして、これらの動きを記憶し、その強さや力の入れ具合や力、距離などの誤りを修正してバランスを計算し、自動で調整しているのが

 

「小脳」です。

 

「小脳」は、スムーズな運動を行うために必要不可欠な脳。

 

ですから、小脳に記憶される情報運動の引き出し」が多ければ多いほど、スムーズに思い通り体を動かすことが出来るようになるわけです。

 

高学年あたりになると、一度見本を見せるとすぐに出来ちゃう子っていますよね。

 

 こういう子は、一般的に運動神経が良い、運動能力が高いなどと言われますが、これは「運動の引き出し」が多いということでもあるのです。

 


うちの子の「字が汚くて読めない!」



うちの子の「字が汚い、読めない」と頭をかかえる人は多いです。

 

実は、字を書くというのは、力の入れ具合やバランスなど、低学年の子どにとってかなり難易度の高いことです。

 

心配しなくても、神経系の発達、体の成長とともに確実に今よりもキレイな字が書けるようになっていきます。

 

 まずはこの時期「もっときれいに書きなさい!」と叱るより、出来ればさまざまな手を動かす体験を通じ「運動の引き出し」を増やしていきたいものです。

 

では、なぜこの時期に勉強よりも「運動の引き出し」を気にしてほしいかというと…


 

「小脳」の発達期が4歳~8歳だからです。

 

大脳新皮質が十代になっても発達するのとは違い、小脳の発達期は期間限定です。

 

もちろん、その後もゆるやかに発達はしますが、無意識のレベルで自動で調整していくれるのは8歳までに習得した「運動の引き出し」

 

その後は、意識すると出来る、繰り返しやって覚えるという動作の身につけ方になっていきます。

 

その他、言語の習得に関わってくるのも「小脳」です。

バイリンガルを育てたいなら8歳までといわれるのもこのためです。

 

ただ、この時期までににしっかりと母国語を習得しておかないと母国喪失という状態が残り、アイデンティティを見失いかねないので注意が必要です。

 


「運動の引き出し」の増やし方



「運動の引き出し」を増やす方法はひとつしかないと言われています。

それは、身体制御の体験、スポーツ、それから遊びです。 

スポーツ、楽器の演奏、歌、お手伝い、鬼ごっこや工作など

とにかく、体を使って体験をしたことだけが「運動の引き出し」となり、小脳を鍛えていきます。

 

もちろん、時間とお金を使って普段出来ない体験をさせるのもいいでしょうが、身近で子どもが興味を持ったことを自由にさせてあげるだけでも「運動の引き出し」は増えていきます。

 

また、お子さんの習い事で「なんでもやりたいと言うくせにどれも続かない…」とお嘆きの方。

 

子どもの好奇心のお陰でさまざまな体験をさせてあげられた!「引き出しを増やせた!」と思えれば、「安い習い事だった」と思えるかもしれません。


 

 

そして、何といっても

小脳の発達は期間限定。

 

勉強はあとからでも身につきます。

(ちなみに、学習や勉強が一番身につく黄金期は10代)

 

多少心配だな…と思っても子どもを見守り、興味を持ったことにはどんどん挑戦せてあげたいものです。

 

 


自分の可能性を信じる力「自己効力感」


もう一つ、この時期の子ども達に気にしてほしい力が「自己効力感」です。

「自己効力感」とは、ある状況において「自分には出来る」「自分なら大丈夫」と自分の可能性を信じられる力のことです。

 

カナダ人心理学者アルバート・バンデューラが提唱した概念で、企業でも注目される、大人になってからも身につく、身につけたい力。

 

この力は、他者との競争や比較を経験する5、6才の頃から身についていく力です。

 

ちなみに、実際に遂行出来ることとは違います。

 

人は、自分の可能性を信じられるから、少々無理なことでもやってみようと思えるものです。

 



自己効力感の高め方



この力は、やみくもにただ挑戦したからといって身につくわけではありません。

では「自己効力感」は何から出来るかというと

 

「成功体験を持つこと」で出来てきます。

「やってできた」という成功体験。

 

 この成功体験は、スモールステップで十分です。

 

むしろ、いきなり大きなものにチャレンジするのではなく、スモールステップの方が力が付きます。

 

そこに、周囲の共感や励まし、周囲に同じような経験をして成功体験をおさめた人に合うとさらに加速します。

 

もし、お子さんがが自信をなくしているようにみえるなら、まずは生活の中で小さな成功体験を積み上げていけるようサポートできるといいですね。

 

 


この時期限定!8歳までが小脳の発達期


集団行動で社会性がみにつく

言葉も達者になり、ある程度複雑な指示にも難なく従えるようになってきます。

 

社会的規則(ルール)を守ることに喜びを感じ、先生や親の言いつけを守ろうとする姿勢もみられます。

(「いけなんいんだー先生がダメって言ってたよー」というやつです)

 

また、集団での仲間関係を通じ、相手の気持ちや欲求を理解する能力も向上し、相手の気持ちを考えたうえで自分の行動を決めていくこともできてきます。

 

その一方、相手が誤った認識を抱くことも理解できるようになるため、嘘がつけるようにもなってきます。

 

ただ、この時期の嘘は悪質なものではなく、年齢と共に、社会認知能力の発達、様々な問題解決経験を経て減ってくるので過度な心配は無用です。

 


大人と同じようには考えられない



こうして並べてみると、低学年にしてかなりの社会性が身についているのですが、思考を司る大脳新皮質の発達はまだ未熟。 

 

子どもは、大人が普通にしている論理的な考え方をまだ出来ません

 

そのため、よくない行動をしたときなど、「なぜそうするの?」と聞いても、大人が求めている答えにはたどり着ことは少なく、何も考えていない!とさらなる親の怒りをかうことになるのです。

 

実際、この時期のお子さんをお持ちの親御さんに話をお伺いすると…

 

「子どもは自分と同じ論理的思考が出来る」「自分が考えていることは子どもも考えられるはず」という前提でお子さんと接しているため「なんで分からないの!」とイライラを増幅させている方が多いです。

 

就学前にくらべれば論理的に考えることが出来るようになってきた子ども達。

 

でもそれは、大人が思うような、過去の失敗から自分で自分を反省的に意識し、次にとるべき行動についてAとBの案の仮説を立て結果を予測し、今するべき最良の案を選んでいく!なんて高度な思考ではありません。

  


抽象的な考え方はまだ苦手



今の子ども達が出来るのは、目に見えるもの、自分が実際に体験したことについて単純な論理にあてはめていくこと。

 

抽象的なことや、「だとしたら~」という仮定についてはまだうまく考えられません。

 

低学年の算数の教科書をみてみてください。

 

例えば「3+2=5」を教えるのに、家にリンゴが3個あります。

お母さんがリンゴを2個買ってきました。

合わせていくつでしょう。

 

などと、身近な題材でイラスト付きの文章題にしているのは、この時期の子ども達に理解しやすいようにという理由があるのです。

 



心配しないで!子どもがひとり言をつぶやく理由



ひとり言をつぶやきながら遊んでいる子どもをみて心配になったことはありませんか?

 

小学生の独り言は状況によって「10歳以下で発話の20%~60%を占める」とも言われるように、子どものひとり言は決して特別なことではありません。

 

なぜ子どもはひとり言をつぶやくのか?

 

それは、大脳新皮質が未発達で

 

「内省」が出来ない子ども達が、自力で課題や問題を解決するため必要な手段

だからです。

 

 「内省」…自分自身と向き合い、自分の考えや言動を振り返り、気付くこと。何がいけなかったのかを把握するとともに、どうすればいいのかに結び付けられる考え方。

 

ちなみに、「反省」とは違います。

 

 「反省」…自分の間違った考えや言動などを振り返り、周りに「これがいけなかった」と伝えるための考え方

 

 大人であれば声に出さず頭の中で考えることを、子どもは声に出して考えを進めているわけです。

 

そして、その課題や問題を解決するために必要な認知的操作を十分に習得した段階で、子どもは言葉を『言う』のではなく『考える』ようになる。

 

こうして、「内省」が出来るようになってくることで、子どものひとり言は減少していくんです。

 


自分の可能性を信じる力「自己効力感」



 スイスの心理学者ピアジェによると、生まれてきたばかりの子供は良し悪しを判断する脳が育っておらず、成長する過程で脳の発達や教育、しつけなどから、少しづつ道徳的な判断を発達させていくとのこと。

 

そして、子どもの道徳観には2つの発達段階があると言っています。

  • 他律的道徳観(5~9歳)
  • 自律的道徳観(9、10歳~)

 

小学校低学年の子どもは

他律的道徳観(5~9歳)にあたります。

 


他律的道徳観のなかでは、物事の良し悪しを判断するとき、親や先生などの大人が承認するか否かが重要になってきます。

 

大人(親や先生)が言ったルールは絶対に守らなければならず、ルールを破ると厳しい罰を受けなければならない、それらは絶対に変えられないものだと思っています。

 

つまり、他者のルールに従っている段階で、起こった行動の背景にある意図ではなく、行動の結果によって判断する傾向が強いといえます。 

  

例えば…

「親が掃除するのを手伝おうと思い、洗剤を大量にこぼしてしまったAちゃんと、洗剤で遊んでいたら少しだけこぼしてしまったBちゃんがいるとします」

 

他律的道徳観の段階にいる子どもに、どちらがより悪いか尋ねると、「Aちゃんが悪い」と答えるのです。

 

これが、自律的道徳観を持ちはめる9、10歳ごろになると

 

「遊んでこぼしたBちゃんも悪い」

 と考えられるようになります。

 

絶対的な善悪は存在しないことを理解し、他人の意図や状況を考慮して判断するようになるのです。

 

 


子どもは親と同じようには考えない


「自分が考えていることは子どもも考えられるはず」

という前提でお子さんと接していませんか? 

 

想像してみてください。

 

子どもがあなたと同じ思考ができるころ、あなたの子どもの「子どもらしさ」失われているでしょう。

 

今が、子どもが子どもらしくいられる最後の時期。

 

 

行動はいっちょうまえ。

だけど思考はまだまだ未熟。

 

心配はつきないけれど、その多くは子どもの成長と共に解決できていく問題です。

  

怒ってばかりいるとしたらもったいない。

 

ぜひ、たくさんの経験をさせてあげてください。

 

今の子どもとの時間を楽しんでください。

 

今の子どもの感じ方を味わってください。

 

あなたが大切だということを、言葉と態度で思いっきり伝えてあげてください。


脳科学で知る「0歳~大人への成長」まとめ

次は、<9歳~12歳編お伝えします。



まとめ執筆者:生駒 章子(いこま しょうこ)
元ガミガミママ。当サイト「親の学校プロジェクト」の代表をやっています。
筆者・プロフィール
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ダメな親なんていない!ただ、やり方を知らないだけ!