人育て 脳科学

脳科学まとめ<4歳児の発達>かんしゃく・物怖じは賢さのはじまり

2022年3月13日

子育てが上手くいかないときに知りたい<脳科学まとめ>

自分で出来ることが増える4歳児

 
4歳ごろになると、不要な神経細胞の間引きがすすみ、乳児・幼児特有の不器用さが減ってきます。

そのため
  • ひもを結ぶ
  • ハサミで形を切り抜く
  • かんたんな図形を描く

などができるようになってきたり

日常生活では

  • 自分で服を着る
  • 歯みがきをしてうがいをする
  • 自分でトイレの始末をする
  • おもちゃを片づける など

大人の手をかりなくてもできることが増えていきます。

出来た!分かった!は大脳(お利口さんの脳)の発達から


4歳ごろから、こんな風に子どもの出来たが増えていくのは、子どもの脳の中でも「大脳(お利口さんの脳)」の発達がより進んでいくからです。

大脳(お利口さんの脳)は、言語や記憶、情動、認知といった高度な精神作用(高次機能)を担当しています。
そのため、出来ることが増えるだけでなく、時間や空間を認識できるようになり

  • 他者の気持ちを理解するようにもなる。
    (※ただ、この時期は自己中心性が強く、他者の気持ちを理解しても相手の立場に立ってみることはまだ難しいようです)

  • 友だちとの遊びのなかで簡単なルールを決めて遊ぶこともできるようになる。

※この時期の発達には個人差があります。

まさに、すさまじい成長をみせる4歳児。
しかし、これらの変化は4歳になって突然できるようになるわけではありません。

知っていますか?「4歳の壁」

成長する4歳の脳と心の発達の過程では、子どもの心には大きな葛藤をもたらします。

そのため

  • こだわりや主張を通そうとして周囲とぶつかる。
  • 感情がうまくコントロールできず、急にかんしゃくを起こして泣く、反抗する
  • かと思えば急に甘える。

など、親を困らせる行動をとるのです。

このような状態は「4歳の壁」とも呼ばれ

子どもにとっては自分をコントロール出来ない不安な状態であり、親にとってはストレスになるでしょう。

まだある4歳の知っておきたい心の発達

子どもが嘘をつくようになった?

4歳ごろになると、日常のコミュニケーションには困らないくらい言葉が増え、過去、現在、未来を理解し言葉を使い分けはじめます。

想像力も豊かになり、自分で簡単なお話を作って話せるようにもなってきます。

そして、ちょうどこの頃から「子どもが嘘をつく」と親が感じることが多いようです。

「子どもの嘘」というと、このまま嘘つきな子になってしまうのでは…と親は不安にになりますが、安心してください。

4歳の脳はまだまだ未発達。

夢で見た内容や自身の脳内で考えた内容が実際に存在していると考える特徴があります。

そのため、この頃の嘘というのは

頭のなかのお話を聞いてほしいだけという場合も多いものです。

ついてはいけない嘘は、きちんと話して聞かせることが必要ですが、そうでなければ、子どもの空想の世界を一緒に楽しむつもりで聞いてあげるのもいいでしょう。

 

急に物怖じしはじめるのはなぜ?


それまで何に対しても物怖じせずチャレンジしていたのに…
急に恥ずかしがったり、自信をなくしたように物怖じしはじめたりすることがあります。

これは、記憶力がよくなり、少し先の見通しがつくようになったことで、人からの評価にも敏感になっているためです。

 3歳ごろまでというのは、周りなんて関係なく、自分が「今」やりたいことができれば満足でした。

しかし、ここからは他者と共存するなかで自分のやりたいことができるようになっていかなければいけません。

そのために、子どもは「ここから」人との関りや遊び、普段の生活の中から、必要な能力を身につけていくのです。

むしろこの頃の物怖じは
自分の不完全さに気づく「かしこさ」のはじまりといえるでしょう


「自分の可能性を信じる力」を育てよう!


4歳の子どもの発達はいかがだったでしょうか。

4歳ごろというのは、自分!自分!だった3歳ごろまでと違い、生まれて初めて対人関係の壁にぶち当たりあたふたしている時期ともいえます。

そしてここから成長する中で、この壁を自分の力で突破する日が来るのですが、それはまだちょっと先のこと。

今は、そのために必要な「自分なら大丈夫」という、「自分の可能性を信じる力」をつけていくことが何より大切です。

この「自分の可能性を信じる力」

「不完全な自分でも寄り添ってくれた」

「ダメな自分でも受け入れてくれた」

そんな「今の自分をそのまま受け入れてもらえた」体験を積み重ねることで育まれます。

いつか子どもが自分の力で壁を突破するその日まで


「出来ないことを責める」のではなく、先ずは「できなかった子どもの心」に寄り添っていきたいものです。

とはいえ、親も人間ですから、見守るのがキツイときもあるでしょう。
イライラが止められなくて爆発することもあると思います。

でもそんなときこそ、4歳の脳と心の発達を思い出してみてください。
言葉は達者になったけれど、まだまだ行動が追いつかない…

「そんな姿もかわいいなあ」と
今より見守ることができるかもしれません。

  • この記事を書いた人

生駒 章子

親の学校プロジェクトの代表。元ガミガミママで今は親教育の専門家。
自身の原体験から、子育て支援ではなく「親支援」にこだわって活動中。趣味は読書(マンガ)

ファミリーワークス合同会社の代表。
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