presented by親の学校プロジェクト
子育てコラム⑯
講演やワークショップで多くの親御さんと接する中で、子どもの話を聞こうとする親御さんが増えたな~と感じます。
先ずは上手に聞けなくてもは問題ありません。
聞こうとする姿勢さえあれば、やり方を学び練習していくことで誰でも子どもの話を聞けるようになりますからね。
ただその反面…
聞こうとする気持ちはあるのに…
聞かなきゃ!と頑張っているのに聞けない人は以下のような勘違いが多いようです。
最初は聞いてたんですけど我慢の限界です!
我慢して聞くにはどうしたらいいんですか?
そんな言葉を聞くことが多いです。
聞いてるのに…
何もしゃべらない…こちらの質問に答えない…言い訳ばかりに聞こえる…全然分かってない!!
聞いてるのに…この子ちっとも変わらない!
そんな感想を聞くことが多いです。
一つ目の共通点は、子どもに対してとても愛情深く「子どもの話を聞く」ことの大切さや効用(自己肯定感を高め、自主性や主体性につながること)を理解しています。
むしろ、分かっているからこそ、聞けない自分によりダメダメ感を感じてしまいます。
二つ目の共通点は、聞くことの主役が「子ども」ではなく「自分自身」になっていること。
そんなことないと思うけど…上手く聞けない…
という人もいるかもしれませんが、上記のことは無意識にしていることも多いです。
もし、今より子供の話を聞けるようになりたい!と思ったら
この辺りを知っておくと、話を聞く事を「我慢」だと感じたり「親の言うことを聞くようにするため」と勘違いしていた人にとっては、子どもが主役で話を聞きやすくなります。
それではここからは、話を聞いてもらうと子どもの頭の中でどんな変化が起こるのかをみていきます。
先ずは、子どもの話を聞くときとはどんな時でしょう?
それは、子どもが悩んだり、落ち込だり、不安になったり、さびしかったりくやしかったり…何だか分からないけどイライラしたらしている時。
そんな時、 子どもは誰かに話を聞いてもらいたい、この気持ちを分かってもらいたいと思っています。
そして、そのモヤモヤを言葉や態度で外に表していくわけです。
まさに、子どもの話を聞く絶好の機会!
なのですが…
この時多くの親が、子どもの話を聞いているつもりが…
子どもの問題を親が解決しようと乗り出してしまいます。
良かれと思いアドバイスや評価、質問、提案など言葉がけをする。
結果、モヤモヤを抱えた子どもにとって、このような親の対応は「聞いてもらった気がしない」ことがほとんどです。
問題が解決するどころか、子どもからの口答え、いい訳、黙る、泣くなどの反発を招いていくことが多いのです。
(※逆効果になる言葉がけについてはこちら「お決まりの12の型を知っていますか?」)
子ども達にしてみれば、話を聞いてもらうつもりが、親によって更なるモヤモヤを抱えさせられるわけです。
ではなぜ、子どもは親の言葉がけに余計イライラしたりモヤモヤをつのらせるのでしょうか?
それは、それらの言葉がけがすべて「親の意見」だからです。
アドバイスなどの「親の意見」は、モヤモヤイライラを抱えた子どもにとって、問題を解決するどころか…
今の自分ではダメなんだと子どもに感じさせイライラモヤモヤを増やしてしまうんです。
一昔前、男脳・女脳という言葉が流行りました。
簡単に言うと、男脳は解決を求め、女脳は共感を求めるというもの。
もし、これを親子に当てはめてみると、親脳は解決を求め、子脳は共感を求めるという感じでしょうか。
そう、親は子どものモヤモヤを解決してあげたくなる。
でも、子どもは共感して欲しい、聞いて欲しい!
子どもにとって「聞いてもらえた」と感じる時とは、「モヤモヤを含めた今の自分」を分かってもらえた時なんです。
一方「モヤモヤを含めた今の自分」を分かってもらえると…
子どもの思考は整理され、自分の悩みを自分で眺められるようになるといいます。
自分の悩みを客観的に眺められると…
そこから考えが深まったり発展したり、悩んでいたことの解決策を自分で考えるようにもなります。
※ちなみに、ここで言う解決策は親が願う建設的なものばかりではなく「する」「しない」など、親からすると何も前進しないと感じるものもあるでしょう。
もし、その解決策が上手くいかなくても…
自分で考えた解決策なので、責任を人に転嫁することなく引き受け、失敗から学ぶことも多くなります。
この繰り返しが子どもの自己肯定感を高め、上手くいかないことがあっても立ち直っていく心の強さ、優しさを身につけていくんです。
反対に、子どもの話を聞かずに親の意見ばかり募っていると、自分で考えない子を育て、子どもの責任をも奪うことになかねません。
子どもの幸せを願うなら、ぜひ「子どもの話を聞ける」親になりたいものです。
とはいえ、親は子どものことを思うが故。
解決してあげたい思いが先走って聞けない時も出てきます。
そんな時は思い出してみてください。
子どもがモヤモヤを抱えた時。
話を聞くときの
主役は話し手の「子ども」
解決するのではなく
子どもが自分のモヤモヤを整理するのを手伝う。
それでも…もっとこうすればいいのに…とイライラすることもあるでしょう。
そうしたら、また思い出してください。
上手く聞けないと思ったときには何度だって思い返してください。
こんな思いで「聞く」ことが、子どもの思考を整理すると共に、親からの「信頼」と「大丈夫」のメッセージを伝えていきます。
子どもの話をもっと聞けるようになりたい!
そんなあなたを応援しています。
子どものサインを見つけ「子どもの話を聞こう!」と思ったときには参考にしてみてください。