人育て 脳科学

脳科学まとめ<5歳編>

2022年3月14日

子育てが上手くいかないときに知りたい
脳科学まとめ

子育てが上手くいかないときに知りたい

脳科学まとめ

<5歳編>

グングン伸びる5歳児の発達

5歳ごろになると、バランス感覚と運動調節機能を担当する「小脳」の発達により運動機能が向上!
出来ることが格段に増えていきます。

  • 歩く速度が大人とほぼ変わらなくなる
  • ブランコの立ちこぎができる
  • スキップができる
  • 平均台などの細い場所をバランスを取りながら渡れる
  • 向かい合ってボールを蹴る・投げることができる
  • ジャングルジムを上まで登ることができる

 手先も4歳のころに比べてより器用になる。

  • ホチキスやのりなど、道具の用途を正しく理解して使える
  • リボン結びや固結びをすることができる
  • 〇△□などの図形が描ける
  • 人間の顔や体などが描ける
  • 箸を使って食べる

生活習慣の面ではほぼ一人で出来るようになる

着替えや歯磨きトイレなどの生活習慣の面で大人の手をかりることが減ってきます。

大脳の発達もさらにすすむため、食事のマナーやルールを守れるようにもなってきます

  • 食事をこぼすなどしたら自分で拭くことができる
  • 決められた時間、離席せずに座って食事ができる
  • 靴をそろえて下駄箱にしまえる
  • ほうきや雑巾が使える
  • 保育園の身支度を自分ですることができる
  • かんたんなお手伝いができる

友だち同士のおしゃべりも楽しくなる

言語能力や記憶力の発達により、友達同士の会話でダジャレ、しりとりなどの言葉遊びを楽しむこともできるようになります。

それにともない、友だちと関わる楽しさ必要性を認識していきます。

また、文字の読み書きに興味を示す子もでてきて、お友達やママに手紙を書いて自分の意志を伝えるような場面も出てきます。

  • ひとつの話題をテーマにおしゃべりができる
  • 自分の名前や年齢、住所や両親の名前などを答えることができる
  • 「どうして?」の質問に対して、その理由を答えることができる
  • 想像力をはたらかせて、お話を創作することができる
  • 絵を見て「パオーン」などの「擬音語」や、「コロコロ」などの「擬態語」で表現ができる

知能の発達もめざましい

論理的な思考や判断、推測などの能力が劇的に伸びるので、複雑な指示に従うことも徐々にできるようになってきます。

また曜日や時間、数などの考え方、「大きい・小さい」など比較概念への理解が深まります。

  • 時間や曜日の概念が理解できる
  • 「大きい・小さい」「重い・軽い」など比較ができる
  • 数的理解力がついて、ある程度の数を数えることができる
  • 数個の違いでどちらが多いか・少ないかの判断ができる
  • 文字の読み書きに興味を示す子もいる
  • 理解したことを長期間記憶できる

社会性が育つ

道徳の理解が進むため、公共の場でのマナーを意識できるようになってきたり、相手の気持ちを考えたうえで自分の行動を決めることができるようにもなっていきます。

同時に、自分よりも小さい子や弱いものなどに対し、思いやりの心を持てるようにもなってきます。

ほんの数年前まで赤ちゃんだった子が、生まれてわずか5年ですさまじい成長をとげていく。

改めて、この頃の子どもの発達には目を見張ります。

 ただ、この時期の発達は個人差が大きいのも特徴です。

今出来ないからと焦る必要はない!

 単純に月齢が数カ月違えば、今出来ることにはかなりの差が出てきます。

また、その子の置かれた環境や性格によって、どの時期に伸びるかは違ってきます。

ここにあるのは目安。

そのうちこんなことも出来るようになるというリスト。

考えてみてください、ここでご紹介した発達の差を、大人になってまで感じる人はほぼいません。

今出来ないことがあっても、「近い未来、こんなことも出来るようになっていくんだな」「今はそのための準備期間なんだ」という風にとらえてみてください。

ただ、「呼びかけに反応を示さない」「あまりにもじっとできない」などの気になる行動が顕著に目立つ場合は※発達障害やその他の病気の可能性もあります。

※「発達障害」生まれつき脳の機能に障害があることが原因で、社会生活に困難が生じてしまう状態。

その場合は適切な支援、治療を受けることが子どもの発達には有益です。

気になるようなら、悩むより専門家に相談してみるのがいいでしょう。

さて、ここまでは5歳児の発達の目安をお伝えしましたが、実は、この時期の子ども達を育てる上で、発達の目安よりも気にかけたい、子ども達に身につけてほしい力があります。

それが、「自己効力感」「運動の引き出し」です。

自分の可能性を信じる力「自己効力感」

「自己効力感」とは、ある状況において「自分には出来る」「自分なら大丈夫」と自分の可能性を信じられる力のことです。

ちなみに、実際に遂行出来ることとは違います。

人は、自分の可能性を信じられるから、少々無理なことでもやってみようと思えるものです。

この力は、他者との競争や比較を経験する5、6才の頃から身についていく力です。

この「自己効力感」については、<6歳~8歳編>にて詳しくお伝えします。

遊びで身につく「運動の引きだし」

この時期、発達の目安より気にしてほしいもう一つが、子どもの「運動の引き出し」を増やすこと。

「運動の引き出し」は 「小脳」に記憶されます。

「小脳」は、運動の強さや力の入れ具合、力や距離などの誤りを修正したり、バランスを計算して調節するなど、スムーズな運動を行うために必要不可欠な脳。

 例えば、生まれたばかりの赤ちゃんは姿勢を保つことが出来ないので寝てばかり。

それが、姿勢を保ち座れるようになり、バランスをとって歩くようになる。

まさに、これが小脳の働き。

普段私たちが当たり前にやっている動きは、この小脳が自動で調整してくれているんです。

ですから、小脳に記憶される情報「運動の引き出し」が多ければ多いほど、スムーズに思い通り体を動かすことが出来るようになるわけです。

「運動の引き出し」を増やすのは8歳までが勝負

では、なぜこの時期に発達の目安より「運動の引き出し」を気にしてほしいかというと…

「小脳」の発達期が4歳~8歳だからです。

もちろん、その後も「小脳」はゆるやかに発達します。

ただ、無意識のレベルで自動で調整していくれる8歳までの「運動の引き出し」とはちがい、意識すると出来る、繰り返しやって覚えるという動作の身につけ方になっていきます。

一度見本を見せるとすぐに出来る子。

上手い人のプレイをすぐに真似出来る子は、一般的に運動神経が良い、運動能力が高いなどと言われますが、これは「運動の引き出し」が多いということでもあるのです。

小脳の鍛え方

小脳の鍛え方はひとつしかないと言われています。

それは、身体制御の体験、スポーツ、それから遊びです。 

スポーツ、楽器の演奏、歌、お手伝い、鬼ごっこや工作など

とにかく、体を使って体験をしたことだけが「運動の引き出し」となり、小脳を鍛えていきます。

もちろん、時間とお金を使って普段出来ない体験をさせるのもいいでしょうが、身近で子どもが興味を持ったことを自由にさせてあげるだけでも鍛えられる能力です。

そして、何といっても
小脳を鍛えられるのは期間限定。

勉強はあとからでも身につきます。

少し危険かなと思っても、子どもを見守りどんどん挑戦せてあげたいものです。

心身共にめざましい成長をとげている5歳児の子ども達。

親は、出来ることが当たり前に思えてきて、もっともっとと要求し、出来ないとせめてしまいがちな時期でもあります。

ぜひ、子どもを小さな大人のように扱うのではなく、出来たことは大いにほめてあげてください。

また、出来る時期には差があることを認識し

 いっぱいいっぱい遊ばせてあげたいものです。

  • この記事を書いた人

生駒 章子

親の学校プロジェクトの代表。元ガミガミママで今は親教育の専門家。
自身の原体験から、子育て支援ではなく「親支援」にこだわって活動中。趣味は読書(マンガ)

ファミリーワークス合同会社の代表。
お問合せはこちらから

-人育て, 脳科学